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コラム · 2021/09/18
 もう50年ほど前のことになるが、高校1年の生物の授業でDNAと遺伝の仕組みを習ったとき、そこが私の人生の分岐点の一つとなっている。A(アデニン)G(グアシル)C(シトシン)T(チミン)という4種類の塩基の延々たる並びのDNAが、コピーされて親から子に受け継がれ、ヒトはヒトに、サルはサルに間違いなくなっていくという。今で言えば、0か1の数値の並びがコンピューターをはじめとするいろいろな機械を間違いなく動かしていることに似ている。まだデジタルという言葉になじみのなかった時代、ヒトをはじめとする生物の姿形をはじめ、その生物たらしめているものがわずか4種類の文字の並びで説明されるということが、たいへん興味深かった。それで大学は理学部の生物学科を選び、分子生物学をかじった。  ところが最近学び直すと、AGTCの4文字が多少間違ってコピーされたぐらいでは、その生命体に対して大きな影響が出るわけではないという。こうしたシステムのことをロバストというらしい。ある意味「いい加減」ということである。地球上の生命は、もともとロバストなシステムだから進化をしてきた。これに対して0か1(黒か白とも言える)の並びが、1か所でも間違うと機械が止まってしまうシステムをフラジャイルという。フラジャイルなシステムは、「きっちり」していて、機械に正確に動いてもらうためにはなくてはならない。 現代社会はデジタルな機械に囲まれ、それがなくては生きていけないようになってしまった。それに浸りきり、思考までもが、黒か白かはっきりさせないと落ち着かないという人が多くいる。アメリカの前大統領もそうだった。結果として国民を、自分を支持するものとしないものに分断してしまった。  動物学者で前京都大学総長の山極寿一氏は「黒でもあり、白でもある」あるいは「黒でも白でもない」ということが受け入れられるようになれば、もっといろいろなことが楽になるという。例えば、人の判断や決断は10割こうだと思ってくだすことはあまりない。場合によっては6対4ぐらいの割合で決めたのかもしれない。右と決めていても、左という思いもある程度あったということに思いをはせると、考え方が違うといって相手を排除せずにすむ。世界に、対立する関係が増えてきて息苦しくなってきいる。何とか「いい加減」で収めてほしいものだ。
コラム · 2021/06/16
松田 昇  ゴールデンウィーク中、石川県は沖縄県に続いて2番目に県外からの来訪者が多かったという。その結果が、連休後の新型コロナウィルスへの感染者の増加だった。東京、大阪を始めいくつかの地域で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がとられているにもかかわらずである。こうなることが分かっているのに、人はなぜ動いたのかと思う。...
コラム · 2021/04/16
松田 昇  「目の見えない人は夢を見るのですか」と視覚障がいの人に聞いてみた。「見えていた時期の映像が出ることもあるけれど、ほとんどは音と触った感覚の夢」ということだった。言われてみて「それはそうだな」と思った。では、言葉のない人は考えるときに言葉を使うのだろうか、使わないとすればどういうふうに考えるのか、と気になった。...
コラム · 2020/09/20
松田 昇  我が家の庭には2本のつるバラがある。毎年5月中旬から6月中旬にかけて、道行く人が思わず目を止めるほど見事にピンクの花を一面に咲かせる。...
コラム · 2020/06/17
松田 昇...
コラム · 2019/09/01
松田 昇  表題をもう少し言葉を足して言うなら「さまざまな健康に関する取り組みが、この長寿社会を産んだわけではない」である。...
コラム · 2019/03/01
松田 昇  あるお通夜で「お釈迦様は尊い人とされていますが、どうして尊いかというと、人々に敬われるから尊いのであります」という法話を聞いた。これでは答えになっていないと最初は思った。...
松田 昇  Sさんとは月1回、空港で飛行機を見たり、駅で電車を見たりした後、銭湯に行きます。いつも決まった銭湯で、番台のおばちゃんとは顔なじみです。自分のペースでお金を払うSさんに「あわてんでいいよ」と言って待ってくれます。...

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