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災害時、障がい者は    

 松田 昇

 

 3月18日(日)にあった市民フォーラムで、防災に関して意見のやりとりがあり、その後少し動きがあった。障がい者の防災に関しては、昨年の9月発行の第13号でも取り上げたが、話題になることで少しでも前進するならこんな嬉しいことはない。

 話しの始まりは、シンポジストの聴覚障害の方が、今のくらしの中で最も心配しているのは災害時だと話されたことだった。音声による呼び出しやお知らせがあっても分からないので、情報から疎外されるのではないかと心配しているという。次に同じくシンポジストの視覚障害者の岡田世志子さんが、災害時に避難所へ行っても視覚障害者はどうしたらいいか何も分からない。障がい者用の避難所を作ってほしいと訴えられた。フロアーの参加者との意見交換になったとき、防災士で町内会の役員もされているという方が、「災害時における障がい者の状況を初めて知った。今度防災士の会議があるので、そこで話題にしたい」と発言された。さらに視覚障害者の岡田勝夫さんが、災害時、避難所での不安を発言すると、最後に発達障害のお子さんを持つ女性が「音や人、物に対する過敏性を持つ発達障害のある人が、避難所で多くの人たちと一緒にいるのは難しい。だから配慮を、ということを言う勇気が持てなかったが、今ここで言う勇気が持てた。いっしょに考えていただきたい」と話された。

 司会をしていて、この話の成りゆきには手応えを感じていた。確かにフォーラムが終わった後のアンケートには、障がい者と災害のことについて改めて考えさせられたという意見がいくつかあった。

 動きはこの後あった。岡田勝夫さんが会長を務める小松市視覚障害者協会が、4月に今年度の総会を開いたとき、小松市の防災安全センターの人に来ていただいて、視覚障害者について理解を深める話し合いを持ったと聞いた。防災安全センターはホームページによると防災情報や防災ガイドを出したり、避難支援プランという計画を立てたり、ハザードマップを作ったりしている部署である。その担当者に、災害時、視覚障害者に対して文字情報はだめなんだとか、誘導するときは一人ひとり手引きしてもらわなければいけないとか具体的に意見を出し、認識を深めてもらったという。その結果については、まだ具体的なものはでていないようだが、とにかく当事者からアクションが起こったということは意味があると思う。

 ちなみに市のホームページで見る限り、小松市の福祉避難所はうめの木学園(金平町)と陽光苑(瀬領町)の2カ所である。小松市の地理がわかる方ならこれがいかに非現実的なことかわかると思う。どちらも市街地から一山越えていかなければならないところにある。