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支援者として、利用者の家族として

 宮野 由美

 

 8月にスタートして、早や3カ月が過ぎました。新しいことばかりで新鮮な気持ちになりながらも、四苦八苦しながら無我夢中で過ごしてきたように思います。“あんとふる”の拠点である事務所は、私が住んでいる町内の旧公民館内にあります。空いているということで、気持ちよく貸してくださいました。町内の方から「宮野さん、何か始めたんか」と聞かれることが多く、説明をすると、「そうか、まあ、がんばりねぇや」とやさしく声をかけてくれます。障がいのある息子と町内の中であたりまえに暮らしてきたことにより、受け入れてくださる気持ちが自然で、応援してくださることは本当にありがたいです。

 今は昔に比べて福祉的な支援は増え、障がい者を持つ家族は楽になった部分はありますが、世間一般の人の障がい者に対する見方は何も変わってはいないと感じます。いつまでたっても冷たい壁を感じます。もっともっと障がい者が町へ出て、知ってもらい、触れ合ってもらわなければと、“あんとふる”の役割がとても大きいことを日々痛感しています。

 そのあんとふるの活動状況ですが、8月の利用者は少なかったものの、9・10月と徐々に増えています。少しずつ忙しくなってきました。新しい利用者との出会いはいつもドキドキです。どんな人だろうか、どんな支援を希望しているだろうか、楽しいと思ってもらえる支援ができるだろうかと緊張します。でも、利用者の方もどんなヘルパーだろうと緊張しますよね。出会いは双方が緊張します。出会ってからがスタート、これから地域の中であたりまえに過ごしていくためのお手伝いを一緒に考えて、一緒に過ごしたいと思っています。

 私自身、ヘルパーとして支援する立場でもあり、反対に利用する保護者でもあります。我が息子も“あんとふる”のヘルパーさんにお世話になっています。ガイドヘルプを利用して出かけるのは“あんとふる”が初めてです。何がしたいか、どこに出かけたいか、母としてアドバイスはしますが、自分で考えて行き先を決めています。出かけている時の息子の様子をお聞きすると、親と出かける時はすべてが親任せで従うという感じですが、ヘルパーさんと行く時は自分がやりたい事、買いたい物に関して自己主張をし、財布の中身と相談して考えて決めているようです。親と行く時とは大違い。自立心を育てる大切な経験をさせてもらっています。本当にありがたいです。ヘルパーと保護者の両方の立場に立てるのはとても参考になります。

 あんとふるを立ち上げるにあたり、たくさんの方々のお力を頂きました。一人、二人の力では到底なしえなかったことです。ほんとうにありがとうございます。しかし本番はこれからです。「継続は力なり」のごとく、初心を忘れずに頑張っていきますので、これからも末永く応援していただきますよう、よろしくお願いいたします。