盲導犬と共に     

徳田 暖

 

盲導犬と生活するSさん。最近、新しい盲導犬Zが来て、練習もかねてヘルパーと一緒に外出することがあります。Sさんにとっても、Zにとっても慣れないことが多く、慣れるお手伝いをしています。金沢駅で練習している時に、声をかけてくれた方がいました。その方は遠目から見ていて、Sさんが困っているように見えたようで『大丈夫ですか。手伝いましょうか。』と声をかけてくれました。Sさんは「練習中なんです」とにこやかに話され、「ありがとうございます」と返されました。その方は、その後少し見ておられ、大丈夫と思ったようで離れて行かれました。外出時は色々なところで人が見てくれていることを感じます。

 

 それ以外にも『かわいい』『盲導犬?』『すごい』と聞こえてくることもあります。Sさんは近くでの声には返事していますが、Zは反応しません。それはSさんがハーネス(犬に装着される胴輪)のハンドルを持っている時には、盲導犬としての役割があり、そういうふうに訓練されているからです。しかし、食事

 

の場面や電車の中で座っている場面などSさんがハーネスを持っていない時には、SさんはZと共に積極的に応えています。Zも嬉しそうにします。横で見ていると、その時のSさんの表情がとてもにこやかなのです。盲導犬には役割があり、役割を果たすことは大事です。しかし、それだけではなく、多く人とのコミュニケーションを取ることで、SさんとZ、そして周りともよりよい関係を繋ぐことが出来ていると感じます。Sさん自身も「多くの人とコミュニケーションを取っていきたい」と言われています。前の盲導犬A(このAもとても人懐っこく、周りを和ませていました)の時からのつきあいですが、自分も少しでもその手伝いが出来るようにと思います 。