ドキドキしながらもお願いします 

 田中真理子

 

 今回は車椅子のYさんとの外出支援でのエピソードをお話したいと思います。

 最近では、映画を観に行ったり、買い物やレンタルビデオショップ、お祭りやイベントに出かけることもあります。そして、外出先で食事をする場面がでてきます。

 通常、車椅子の方と外食する予定があると、よく行くバリアフリーのお店にするか、初めてのお店なら、事前に電話して、車椅子が入れるか、また車椅子のまま食事ができるかを確認し、大丈夫だと言われたお店に行っています。ところが、外出中、急遽入りたいと言われたお店の入り口に段差があることもあります。そんな場合はヘルパーが先に店に入り、店員さんに車椅子を一緒に持ち上げてもらえないか尋ねます。

 あるスロープのないラーメン店へ行った時のこと。店員さんは年輩の女性ばかりで、これは頼んでも断られるかもと、半分諦めながらも頼んでみると、とても快く早急に対応してくださったのです。失礼ですが、店員さんの年齢を想像すると、腰は大丈夫かな心配になりましたが(笑)。

 また、あるカレー店では、事前に電話で確認を入れると、とても快く「大丈夫ですよ」と言われたので行ってみると、なんと店員さんが一人で厨房と接客を切り盛りしておられ、心配になったことがあります。大変申し訳なかったのですが、あまりにも当たり前のように笑顔で協力してくださったので、本当に嬉しかったです。

 また、よく行くお店で、車椅子がスムーズに席につけるように、椅子をサッとどかしてくださったり、デパートでは、エレベーターに乗り込む時や降りる時に、さりげなくスペースを空けてくれたり、ドアを押さえてくれたりと、小さな心遣いに嬉しくなります。

 反対にがっかりすることは、駐車場の障害者スペースにそうでない方が停めておられることです。以前、障害者のスペースに車椅子マークのついていない車がエンジンをかけたまま止まっていて、運転席にちょっと強そうな感じの男性が乗っておられたことがありました。駐車場は近くにも空いています。自分一人なら絶対に声をかけないところですが、勇気を出して車を移動してもらえないか頼みに行きました。すると、男性はムッとすることなく、すぐに移動してくださったのです。

 私は内心ドキドキで、たぶん顔もひきつっていたと思いますが、Yさんに「大丈夫やったか?」と聞かれ、「実は怖かったですぅ~」と話して二人で大笑いしたことがあります。

 私には外出支援中、心掛けていることがあります。それは、手伝っていただいたり、親切にしていただいた時に、「すみません」ではなく「ありがとうございます」と明るく笑顔で言おうということです。つい「すみません」と言ってしまいやすいのですが、研修でNHKの番組を見たとき、車椅子の方が街を歩いていて、何も悪いことをしていないのに「すみません、すみません」と何度も言わなくてはいけないというのを見たからです。「すみません」と謝るのではなく、「ありがとう」と感謝を伝える方がお互いに気持ちがよいのではないでしょうか。

 これからもどんどん街に出て行き、利用者さんが好きな場所で好きなことが当たり前にできる世の中になるよう願いつつ、堂々と活動していきたいです。