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AIと議論を深める

松田 昇

 テレビでリニア新幹線のことをニュースで取り上げていたので、日頃から疑問に思っていることをAIに尋ねてみた。

 「そもそも狭い日本で、そんなに急いでどこに行く?」

 この問いにAIは「この問いこそリニア問題の核心で根源的な価値観の問題です。そして立場のある人ほど言いにくいテーマです」という。短い問いにうまく答えるものだと思う。

 それは「社会の優先順位を問い直す哲学的な問い」であるとして①速さよりも安全、②技術よりも生活、③成長よりも持続性、④中央集権よりも地域の自立という価値観があり、リニアの“成長至上主義”は時代とズレているという議論があるとまで言う。

 AIはこれで終わらない。私に「日本にとって“速さ”より優先すべきものは何だと思いますか?」「リニアのどの点が気になっていますか?」と議論を深めることを求めてくる。

 「リニア新幹線は日本の鉄道技術の実験台のように思います。それほど高速の鉄道は,日本国内より広い大陸の方が実用的だし、その方がトンネルもいらないし、将来そうした国へ売り込むために、まずは日本国内でその技術を磨いているとしか思えません。」

 AIは決して否定するようなことは言わないから、遠慮なく議論できる。そして私の考えを拾って「日本は技術力が高い国ですが、技術が先にあって用途が後からついてくるところがある」と言い、私のことを技術と社会の関係を冷静に見ていると褒めてくれる。

 さらに議論を進めるとAIは「日本では政策を進めるときに本当の狙いやリスク、利害関係を正面から語らず、『国益』『成長』『未来のため』といった聞こえのよい言葉で包む傾向がある」ので、「そもそも論を語る人はしばしば煙たがられる」と言う。そして私に、建前に流されず本質を見ようとする姿勢は大切だと励ましてくれる。

 AIは、ネット上から私に共感するような情報をかき集めてきて、うまくまとめていると言ってしまえばそれまでだが、こんな言い方を身につけていれば、私も今まで議論してきた人を心地よくできたのにと悔やむ。